お仏壇の製造工程
新潟・白根仏壇の歴史
新潟・白根の地での金仏壇製造の歴史は江戸時代の元禄年間まで遡ります。
宮大工の長井林右ェ門が京都から仏壇製作の技術をもたらしたのが始まりです。 白根(新潟市南区)で仏壇製造が盛んになった背景には幾つかの要因があります。もともと越後は親鸞上人が流されるなど真宗に縁のある土地柄でした。
また白根は信濃川と中之口川に挟まれた地であった為に、度々水害に悩まされていました。その為に神仏への信仰心が一層高かったことが上げられます。それに加えて近隣の燕などと違い、これといった産業がなく、農家の次男・三男が仏壇製作に携わるようになったのだといわれます。隆盛期には東北や北海道まで販路を持ち、全国から金仏壇を求めて新潟詣でをするほど賑わいました。
伝統的工芸品とは
伝統的とは100年以上の継続を意味します。新潟・白根仏壇は300以上の伝統を持った伝統産業です。
新潟・白根仏壇は1980年(昭和55)に通商産業大臣により伝統的工芸品の指定を受けました。伝統的工芸品は左記の用件を満たす必要があります。伝統的工芸品の指定を受けた金仏壇産地は全国にわずかに15産地です。
- 1.主として日常生活に使用されるもの
- 2.製造工程の主要部分が手づくり
- 3.伝統的技術または技法によって製造
- 4.伝統的に使用されてきた原材料
- 5.一定の地域で産地を形成
仏壇の製作工程
仏壇の製造は分業で行ないます。木地宮殿師、塗り箔押し師、彫刻師、蒔絵師、金具師等の手を経て完成されます。
1本のお仏壇が出来上がるまでには約3ヶ月を要し、少なくても10人以上の職人が携わります。
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01
木地
厳選された木材で、お仏壇の本体を作ります。材料としては松・杉・欅が一般的です。
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02
木地調整
木地を部品ごとに解体し、釘穴やササクレ等に穴うめ(コクソ)をし、サンディング(研ぎ)をして木肌をなめらかにします。
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03
下地吹き付け
木から出るやにが表面に出ないように、また仕上げ塗料(漆)が木の中にしみこまないように、下地塗料で塗膜を作ります。
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04
下地乾燥
1~2日乾燥します。研ぎに備えて塗膜を丈夫にします。乾燥室の塵を防ぐことと、温度を一定に保つことが後の仕上げにひびきます。
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05
研ぎ
研ぎで塗面を平にし、次に塗るものの密着度を良くします。
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06
漆塗り
漆塗りは仏壇芸術の要です。昔ながらの刷毛による手作業は、手間はかかりますが深い味わいが出ます。
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07
箔押し
上塗り塗料に適応した種類の液を刷毛や綿で部品に塗りつけます。各部分の大きさに合わせて金箔を切り、一枚一枚貼り付けます。数分後、金箔のシワやつぎ目を消して仕上げます。
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08
彫刻
人物・花鳥等、構図に従って、平彫、重ね彫、丸彫が手作業で彫られます。
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09
蒔絵
特殊な細い筆を使い、漆で絵を描きます。そして漆が乾かないうちに金粉・銀粉・貝などを蒔いていきます。
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10
金具
銅・真鍮板に多種のタガネによる打ち出し作業を行い着色し、伝統的な手作業で製作します。
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11
組立て
彫刻、蒔絵、飾り金具などをお仏壇に取り付けていき、一本のお仏壇が完成します。
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完成
動画
吉運堂のお仏壇・「蒔絵」の製造工程
~吉運堂・お仏壇ができるまで~